国際孫子クラブ

Sun-Tzu Art of Warfare 

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新釈「孫 子」

二五〇〇年前の兵書がなぜこのように現代に通ずるか。他の古典はそうでないとはいわないが、『孫子』の場合は顕著である。理由はいくつかある。その第一は、兵書でありながら戦争を人類の敵とみていて、好戦的でないことだ。これは『孫子』を熟読した結果わかったことである。著者の孫武は、人間は安定した社会体制の下で協同で仕事をして豊かな人生を送り、天寿を全うするのが最も望ましいと考えていたようだ。黄河文明の研究成果と思うが、安定した豊かな人生を送るのが幸福とみていることはまことに現代的である。しかしこの考え方は、身分制度の厳しい乱世の春秋時代の社会通念下では異端である。だから当時の社会の歴史学的研究からは、『孫子』はかえって理解しにくいのではないかとさえ思う。『孫子』の理解には、むしろ『孫子』そのものを熟読玩味するしかないのではないか。それだけ『孫子』の著者の意識は進んでいたのである。
天野鎮雄博士は、「孫子は宇宙の目から戦争を捉えている」と述べているが、換言すれば、「現代的センス」で戦争を捉えているということではなかろうか。第二は自然界の原理や人間の性をよく研究し、その仕組みやルールに余計な彩りを加えずに用兵原則を作っていることだ。自然界の原理や人間の性は、二五〇〇年前も今も変わらない。むしろ物質文明が進んでいないだけに、自然界の仕組やルールは捉えやすい。とはいえ慎重な『孫子』は、それを『易』の二元論を研究し、黄河文明を作った原理から捉えているのである。
中略・・・このように『孫子』はすぐれた書である。だが現代の書物に比し、"簡古隠微"(かんこいんび、簡単で古色を帯び、実体がかすかでわかりにくい)といわれるほど解読がむずかしい。簡潔すぎる文章の壁、兵書解読に必要な軍事知識の壁、それも目に見える戦術的用兵ではなく、その奥にあって戦術的用兵を動かしている戦略原理の壁である。
さらにその戦略原則を処世、経営、ビジネス面に活かすには、軍事と経済常識をもってする橋渡しが必要だ。これらの障害除去は、大地震直後の瓦礫に埋もれた人命救出にも似ているが、その瓦礫を少しでも取り除いて、読者諸賢の理解を容易にするように努めたのが本文庫版である。

-- 武岡先生「新釈 孫子」(PHP文庫 2000年6月 おわりに・本書を活用し「孫子」を学ぶ人へより --

 

© 2000.02.01 Tadahiko Takeoka 

「戦国合戦論」

長篠の合戦

「正をもって合し、奇をもって勝つ」(「孫子」第五、兵勢篇)
たとえば、相撲などでも、圧倒的な強敵を倒そうと思えば、正面からしゃにむにぶつかるだけでなく、時には足をかけたりしてみることも必要である。しかし、相手の体勢を崩さないで足をかければ、逆に自分の方がひっくりかえされてしまう。奇ばかり考えて正の努力を怠ると「策士策におぼれてしまう」のである。この「正」と「奇」とのかね合いが、実に微妙である。
私は、この「孫子」の言葉の意味を、字面からだけは取ることはできても、これが戦略・戦術的に見て、具体的にどういうことを言っているのか、もう一つ腑に落ちなかった。米軍やソ連軍は「正」で寄り切る戦法が多いし、旧日本軍や現在の自衛隊でも戦略・戦術研究になると、ほとんど「正」の研究である。一方、かつてのベトナム戦争での北ベトナム側の戦い方は、「奇をもって」のものだろう。実際の戦いというものは、どうしても一方に比重が傾いてくる。孫子の言うようなモデルケースがなかなか見つからなかったのである。
ところが、戦国合戦史をつぶさに見ていくうちに、まさに「正をもって合し、奇をもって勝つ」の教科書のような戦いがあることを知ったのだ。それがこの長篠の合戦である。 長篠合戦は、三方ヶ原合戦の二年半後、信玄亡きあとの武田勢を、織田・徳川連合軍が長篠城の西方設楽原(愛知県豊橋市東北方二十五キロ)で破った戦いである。この合戦で織田側は三千挺というかつてない大量の鉄砲を使い、雄名をはせた武田騎馬隊を一気にたたきつぶし、その後の合戦の方式をまったく様変わりさせている。それだけに、長篠合戦といえば、すぐ鉄砲という答えが返ってくるほど鉄砲で有名な合戦である。
しかし、この「鉄砲三千挺」の陰に隠れて忘れられがちだが、信長は長篠に武田側の三倍の兵力を動員しているのである。鉄砲三千挺が「奇」であるとすれば、敵の三倍の動員力というのが「正」の策なのである。そして特筆すべきことは、信長はこの合戦のためにこれ以外のさまざまな「正」と「奇」とをからみ合わせ、実に見事な施策を講じていることである。
私は、率直に言って、そうした戦略・戦術上の多彩な布石が、ある時は看過され、ある時は誤解されていることに不満を感じている。この長篠合戦は、軍事的天才である信長が、彼の一生の中でもっとも油の乗った時期に、最大の脅威であった武田騎馬軍団を打ち破るために描いた言わば軍事的芸術作品とでも言うべきものである。彼の戦った戦(いくさ)の中でももちろん、数多い戦国合戦の中でも、戦略上の原則を完璧に活かしきった、近代的香りの漂う最高傑作であるといってよい。
火力戦時代の幕あけ
この合戦は、戦国時代に行われた数多い合戦のなかでも、鉄砲の組織的運用が日本で初めて行われた火力戦の幕開けとなる意義深い合戦であった。長篠合戦の後、戦国大名の部隊編成は鉄砲隊を第一とし、槍隊がそれに続く形に変ってゆくのである。
「長篠之戦」(高柳光寿、春秋社)の結語にも「信長勝利の原因はいろいろ数え得るであろうが、その第一は、その陣地に馬塞ぎの柵を構え、勝頼の兵をそこへ誘致して、鉄砲を有効に使用し、騎馬戦を得意とする敵に、騎馬戦の効果を発揮する余地を与えず、柵際において、鉄砲によって敵に大損害を与えたことにあるといってよい」と述べられている。
たしかにそのとおりだが、すでに述べてきたように、鉄砲と場防柵以外にじつにさまざまな手を、信長が打ってきていることを忘れてはならないだろう。 もちろん信長の作戦は、三千挺の鉄砲の威力をどう効果的に発揮させるかを軸に緻密に組立てられている。戦場の選定も、敵のおびき寄せの手立ても、部隊の編成も、すべて鉄砲の威力を発揮させることから考え出されている。そのうえ、鉄砲が使えない時にも、敗れないための手配も忘れてはいない。
すばらしいのは、それらの発想が近代的合理的で、従来の用兵術の延長線上にないことだ。そして、驚くべきことは、その考え方を現代にもってきてもそのまま適用できるということである。極端な言い方になるが、旧陸軍の用兵思想などよりも、信長の発想の方が、はるかに現代戦を戦うのにふさわしい自由な理念を持っている。
長篠合戦は二つの教訓を残した。一つは武器革新とそれに伴う部隊運用の改善に取組む姿勢の問題だ。勝頼に限らず、当時の戦国大名は皆鉄砲をもっていた。しかし鉄砲をどうした形で使用するのが最も効果的か、またそのためには部隊運用をどうしなければならないかということを、信長ほど真剣に考えた武将はいなかった。
勝頼もそうである。設楽原で手痛い体験をするまでは、鉄砲がこれほど絶大な威力を発揮しようとは、思ってもみなかったに違いない。信長という個性は、新しい物に対して恐ろしく貪欲である。たとえば楽市楽座の開設や、外国人宣教師の利用など、従来の習慣にとらわれないさまざまな斬新な布石を打ってきている。そうした、ドライな近代的センスが、この長篠合戦の勝敗を分けたとも言える。信長と勝頼の間には、まさに、近代と中世というぐらいの人物としての截然とした開きがあったのである。
もう一つの教訓は、現状に満足して戦法の革新を図らないものは、いつか必ず滅びるということである。
武田方が得意とした騎馬中心の歩騎チームの突撃は、信玄がつくりあげた戦法である。当時(天文―永禄)、一騎打ち戦法はすでにすたれ、徒歩兵による密集突撃戦法に変りはじめていた。こうした運用思想の転換をいち早く見抜いた信玄は、自国が馬の産地であることに着目して、さらにその上をゆく騎馬を中心とした密集突撃戦法を考案したのだ。 この戦法は、機動力、打撃力ともにきわめて強力であり、他の戦国大名たちから非常に恐れられた。しかしこれが強力であったために、信玄亡き後も勝頼はその威力を過信しすぎた。 信玄が武田騎馬軍団を作り上げたのは、一つのアイディアの飛躍である。たしかに武田騎馬隊は強力で、長篠までは土つかずだった。しかし、時代の変化とともに戦法についても、たゆまない検討を加えていかなければならない。第二、第三の信玄流のアイディアの飛躍を行なう人物が出てこないとは限らない。勝頼以下の武田方首脳部は、あまりに強力な自軍の戦法を過信し、時代の先を見通すことができなかった。それが設楽原での敗北を呼び、やがては武田家の滅亡を呼ぶことにもなるのである。
---「戦国合戦論」1981年 プレジデント社 より---

© 2000.02.01 Tadahiko Takeoka 

middle-5「世のなかが見えるようになった」人生を経験していくと、フトそんな思いにかられることがある。この場合なにが見えるかといえば、神が作られた世の中の仕組みである。もちろんその仕組みは肉体の眼では見えない。私は軍人としての道を選んだために、二十歳足らずで敵弾の下をくぐった。だんだん慣れてくるにしたがって、どうすれば敵に勝てるかを考えるようになった。少しずつ戦いの仕組みが見えるようになってきたのである。それから四十年経った。その間私なりに、この目に見えない仕組みの解明にとりくんできた。次に述べる「神の言葉」はその結言と考えていただいてよい。そして、そのあとに続く箇条書きの文章は、その神の言葉を私なりに解明したものである。私はこの神の理は軍事だけでなくすべての戦いに通ずるものと思っている。---「兵法を制する者は経営を制す」1983年PHP研究所 ---

© 2000.02.01 Tadahiko Takeoka 

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新釈 孫子

2000年6月発行

はじめに-「孫子」の現代的意味

第一部 全般解説

一、「孫子」の評価

(一)「孫子」の兵書的評価

(二)現代の実業界にも通じる「孫子」

(三)「孫子」は芸術的兵書であ

(四)十三編を貫く三理念

二、「孫子」の経営・ビジネス活用法

(一)絞り込み学習法が大切

(二)基本となる原則

(三)高等戦術的な原則

三、「孫子」を学ぶための基礎知識

(一)「孫子」成立の歴史的背景

(二)「孫子」の人間性

(三)「孫子」の中庸性

(四)「孫子」の現実性

(五)「孫子」著作の目的

(六)十三編の構成

第二部 「孫子」通解

計 篇 第一

(一)五事七計による勝敗の算

(二)有利な外部情勢の作為

(三)わが方策(内謀)の決定

(四)勝算の算定とその評価

作戦 篇 第二

(一)中庸性方策の重要性

(二)軍費と国民生活

(三)敵に勝ちて強を益す

(四)兵を知ることの意味

謀攻 篇 第三

(一)戦わずして勝つ

(二)謀攻の法

(三)力学的合理用兵

(四)君主と将軍の関係

(五)勝を知る条件

形 篇 第四

(一)まず負けない態勢を取る

(二)攻めか守りかは相手との力関係で決める

(三)勝ち易きに勝て

(四)まず勝て後戦う

(五)組織は常に充実しておく

(六)指揮手順も勝利の要因

(七)集中効果は形をとることで生まれる

勢 篇 第五

(一)「孫子」の組織機能論

(二)奇と正のバランス

(三)勢いの効果を知れ

(四)「奇正の変」用兵に必要な諸要因

(五)企業に勢いをもたせよ

虚実 篇 第六

(一)先手必勝

(二)間接戦略を使え

(三)人無き地を行け

(四)敵の虚を衝け

(五)弱者の戦法

(六)勝利の創造法

(七)敵に合わせて変化して勝つ

軍争 篇 第七

(一)第二の戦略「迂直の計」

(二)利と危は紙一重

(三)「迂直の計」に必要な条件

(四)風林火山

(五)物による矛盾の解決法

(六)「迂直の計」の狙いどころ

(七)触らぬ神にたたりなしの策

九変 篇 第八

(一)九変の術

(二)ピンチはチャンス

(三)仕事を与えて人を動かす

(四)備えあれば患いなし

(五)五危の矯正

行軍 篇 第九

(一)接敵時の行動原則

(二)兆候を読むことの大切さ

(三)情報の意義の推理

(四)状況を侮る者は失敗する

(五)恩愛と尚武の統率

地形 篇 第十

(一)地形の戦術的解説

(二)六つの敗因は将の過ち

(三)上将の道

(四)勝負を支配する要因

九地 篇 第十一

(一)九地と用兵法

(二)敵国進攻作戦

(三)組織管理はチームワーク

(四)将軍の姿勢

(五)孫子兵法の極意

火攻 篇 第十二

(一)五火の変

(二)目的と目標、哲学、人間性(全篇の結言)

用間 篇 第十三

(一)敵情に金を惜しむなかれ

(二)先知の重要性

(三)スパイの区分と運用法

(四)諜報は軍のかなめ

おわりに-本書を活用し、「孫子」を学ぶ人へ

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まんが 孫子の兵法

1998年8月発行

読者の皆様へ

第一篇 計 篇

一 利にして之を誘え

二 能なるも之に不能を示せ

第二篇 作戦 篇

三 兵は勝つことを貴び、久しきを貴ばず

四 敵を殺す者は怒なり

第三篇 謀攻 篇

五 彼を知りて己を知れば、百戦して殆うからず

六 善く兵を用うる者は、人の兵を屈するも而も戦うに非ざるなり

第四篇 形 篇

七 先ず勝つ可からざるを為して、以て敵の勝つ可きを待つ

八 善く戦う者の勝つや、智明無く、勇功も無し

第五篇 勢 篇

九 兵の加える所、碬を以て卵に投ずるが如くするは、虚実これなり

十 善く敵を動かす者は、之に形すれば、敵必ず之に従い、之に予うれば、敵必ず之を取る。利を以て之を動かし、卒を以て之を待つ

第六篇 虚実 篇

十一 我専にして一と為り、敵分かれて十と為れば、是れ十を以て其の一を攻むるなり。則ち我衆くして敵寡し。能く衆を以て寡を撃てば、則ち吾の与に戦う所は約なり

第七篇 軍争 篇

十二 山林・険阻・沮沢の形を知らざれば、軍を行ること能わず

十三 兵は詐を以て立ち、利を以て動き、分合を以て変を為す者なり

第八篇 九変 篇

十四 城に攻めざる所有り

十五 兵を用うるの法、其の来たらざるを恃むことなく、吾が以て待つ有るを恃むなり。其の攻めざるを恃むこと無く、吾が攻む可からざる所有るを恃むなり

第九篇 行軍 篇

十六 軍行に険阻・潢井・葭葦・山林・蘙薈有れば、必ず謹んで之を覆索せよ。此れ伏姦の処る所なり

第十篇 地形 篇

十七 夫れ地形は兵の助けなり。敵を料り勝を制し、険阨・遠近を計るは上将の道なり。此れを知りて戦いに用うれば必ず勝ち、此れを知りて戦いに用いざれば必ず敗る

第十一篇 九地 篇

十八 兵を為むるの事は、敵の意に順詳するに在り。笄せて敵に一ら向かい、千里にして将を殺す。此を巧みに能く事を成す者と謂うなり

第十二篇 火攻 篇

十九 火、内より発すれば、則ち早く之に外より応ぜよ

第十三篇 用間 篇

二十 内間とは、其の官人に因りて之を用う

 

資料「孫子入門」

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「孫子」を読む

1998年3月発行

まえがき

第一 計 篇

競争の原則・通解・原文・読み下し文

解説

第一、計篇概説

第二、哲学

第三、組織力(五事)

第四、情報活動

第五、状況判断

第六、制権とは何か

第七、詭道の重要性

第八、意思決定

第二 作戦 篇

競争の原則・通解・原文・読み下し文

解説

第一、作戦篇概説

第二、兵を知る

第三、拙速の真意

第四、「敵の貨を取る」作戦

第三 謀攻 篇

競争の原則・通解・原文・読み下し文

解説

第一、謀攻篇の意図と謀攻の法

第二、孫子の戦略理論

第三、将は国の輔

第四、勝を知る道

第四 形 篇

競争の原則・通解・原文・読み下し文

解説

第一、形篇概説

第二、不敗の形

第三、先ず勝ちて戦う

第四、積水を千仞の谿に決する采配

第五 勢 篇

競争の原則・通解・原文・読み下し文

解説

第一、勢篇概説

第二、奇の発想

第六 虚実 篇

競争の原則・通解・原文・読み下し文

解説

第一、虚実篇概説

第二、人を致して人に致されず

第三、弱者の戦法

第四、敵に因りて変化して勝つ

第七 軍争 篇

競争の原則・通解・原文・読み下し文

解説

第一、軍争篇の主旨

第二、矛盾の意味

第三、風林火山法(発想追加法)

第四、金鼓旌旗法

第五、視点の転換法

第八 九変 篇

競争の原則・通解・原文・読み下し文

解説

第一、九変篇概説

第二、九篇の術

第三、智者の慮

第四、人を動かす業

第五、備えあれば患なし

第六、五危の矯正

第七、将の器量

第九 行軍 篇

競争の原則・通解・原文・読み下し文

解説

第一、行軍篇概説

第二、環境を味方にせよ

第三、健康管理

第四、兆候と推理

第十 地形 篇

競争の原則・通解・原文・読み下し文

解説

第一、地形篇概説

第二、六つの敗の道

第三、会長と社長

第四、企業倫理の座標

第五、愛情による統率

第六、覚悟の経営

第十一 九地 篇

競争の原則・通解・原文・読み下し文

解説

第一、九地篇概説

第二、人間とその操縦法

第三、組織論

第四、リーダーの心得

第五、孫子兵法の極意

第十二 火攻 篇

競争の原則・通解・原文・読み下し文

解説

第一、火攻篇概説

第二、源義家の火攻戦例

第三、「七三の理論」

第四、孫子の人間主義

第五、目的と目標

第六、孫子と武田信玄の処世信条

第十三 用間 篇

競争の原則・通解・原文・読み下し文

解説

第一、用間篇概説

第二、企業と諜報工作

第三、個人情報の整理

第四、力学的合理主義と「戦わずして勝つ」

<資料>春秋時代の戦争

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孫子の経営学

1995年8月発行

はしがき

「孫子の経営学」の底本について

計 篇 第一

要点

1、独自の経営観を持て(戦争哲学)

2、常に備えを怠らず組織を充実せよ(経事)

3、目的決定の状況判断は慎重に(校計)

4、状況の変化への柔軟な対応を(制権)

5、軽妙な詭道の発想をもて(詭道)

6、勇気をもって決断せよ(意志決定)

計篇要旨

通解

通解コメント

ビジネス解

事例①~

作戦 篇 第二

要点

1、経営を知る努力を惜しむな

2、資本の回転率をよくせよ

3、背反する二律は問題解決の鍵

4、背に腹はかえられぬ

5、利益は体質強化に使うべきもの

作戦篇要旨

通解

ビジネス解

謀攻 篇 第三

要点

1、最小最大の理に基づく戦略は次等の戦略

2、最高の戦略は戦わずして勝つ

3、戦力の配分は戦略力二、戦術力一が理想

4、戦略実行の手段は謀攻、外交、実力行使

5、優勝劣敗の原理を数字化すれば三対一

6、戦略の失敗は戦術では補えない

7、トップとスタッフの間にスキができたら危うい

8、リーダーシップには判断力と指導力が必要

9、彼を知り己を知れば百戦殆うからず

謀攻篇要旨

通解

ビジネス解

形 篇 第四

要点

1、まず勝つことより負けないことを考えよ

2、攻撃は最良の防御にあらず

3、勝つべきものは攻むるなり

4、勝ちやすきに勝て

5、組織を一丸とし、規律を守らせよ

6、よき形で、積水を千仞の谿に決せよ

形篇要旨

通解

ビジネス解

勢 篇 第五

要点

1、商売と組織管理は表裏一体

2、正と奇は企業活動の基本機能

3、奇は相手を差別化するテクニック

4、奇の発想への努力は企業のサバイバルの道

5、指揮は威勢よく短切的確であれ

6、組織は采配により乱れ、おびえ、弱くなる

7、リーダーは組織を勢いづける努力を怠るな

勢篇要旨

通解

ビジネス解

虚実 篇 第六

要点

1、虚は内なる誘惑から生じる

2、先んずれば人を制す

3、人なき地を行くには情報と決断がいる

4、弱者の戦法は敵は分散、我は集中

5、戦いの地と日を知れば断固実行せよ

6、勝利を創造し、成功を創造せよ

7、人は成功の外見を知っているが、本当の理由を知らない

8、兵に常勢なく、水に常形なし

虚実篇要旨

通解

通解コメント

ビジネス解

総合コメント

軍争 篇 第七

要点

トレードオフ

1、トレードオフとは?

2、トレードオフの対応三タイプ

3、トレードオフの四パターン

ブレークスルー4法

1、発想追加法

2、物による解決法

3、組織解決法

4、視点変換法

軍争篇要旨

通解

ビジネス解

九変 篇 第八

要点

1、知識を現場に生かす知恵に変えよ

2、人を動かすには利益のほかに業がある

3、備えあれば憂いなし

4、上級者は性格的欠点の矯正に努めよ

九変篇要旨

通解

ビジネス解

総合コメント

行軍 篇 第九

要点

1、ルール違反は失敗する

2、兆候を読むことの大切さを知れ

3、情報資料のもつ意義を推理せよ

4、状況を侮るものは失敗する

5、人をみて法を説け

行軍篇要旨

通解

ビジネス解

総合コメント

地形 篇 第十

要点

1、地形の利用法にもルールがある

2、バカな指揮官、敵より怖い
失敗の原因は判断の誤りか指導力の不足

3、環境を味方にせよ

4、凄みを帯びた責任感で事に当れ

5、底知れぬ男の愛で部下に接せよ

6、動きて惑わず、挙げて窮せずを信条とせよ

地形篇要旨

通解

通解コメント

ビジネス解

総合コメント

九地 篇 第十一

要点

1、背に腹は代えられないときは火中の栗を拾え

2、真の労務管理は相互信頼にあり

3、組織は常山の蛇のように、システム行動せよ

4、トップは部下を高きに登らせて梯子を外せ

5、企業は努力して覇王の兵となれ

6、人は苦難に陥ったときはじめて馬鹿力を出す

7、敵の企図を推し量ることが大切

8、はじめは処女のごとく、後は脱兎のごとし

九地篇要旨

通解

ビジネス解

火攻 篇 第十二

要点

1、七対三の比率は思いのほか使途が多い

2、五火の変は、人間集団を操作するための原則

3、目標は目的を達成するために設けるもの

火攻篇要旨

通解

ビジネス解

用間 篇 第十三

要点

1、情報活動に金を惜しむな

2、IBM産業スパイ事件の教えるもの

3、先手必勝は先知から

4、技術史の裏面はスパイ史

5、大物を間に使えば大事も成る

用間篇要旨

通解

ビジネス解

 

参考文献

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リーダーシップ孫子

指導者はいかにあるべきか

1994年5月発行

何が人を引きつけるか-まえがきに代えて

第一章 リーダーの識能と責任

1 リーダーの識能

2 リーダーの責任

3 処世哲学、処世感をもつ

4 大局を見る目を養う

5 危機管理の知恵と肝をもつ

6 心の修養に努める

第二章 判断力を磨く

1 理念と目的・目標

2 地形判断力を身につける

3 敵情判断力を身につける

4 状況判断力を磨く

第三章 リーダーのあるべき姿勢を知り努力する

1 基本的資質

2 智

3 信

4 仁

5 勇

6 厳

第四章 指導力を身につける

1 組織の本質を理解する

2 コミュニケーションをはかる

3 人間の性を理解する

4 報連相の実行につとめる

5 勢いにのせる

6 ヤル気を出させる

7 指揮の要訣を知る

8 位置を適切にする

9 教育につとめる

第五章 戦略力を学ぶ

1 備え

2 謀攻の法

3 処世哲学がもたらす戦略

4 環境が戦略に及ぼす影響

5 弱者の戦略と強者の戦略

6 まず失敗しない態勢をとって攻めに出る

7 成功の見通しを立てて始める

8 成功の手順を重んじる

9 戦力の構築を会得する

第六章 戦術力を学ぶ

1 奇は活路を開く条件

2 先手必勝をはかる

3 主導性をもって臨む

4 相手の隙・盲点・弱みを衝く

5 弱者の戦術は敵を分けること

6 チャンスを逃がすな

7 コツを学べ

第七章 矛盾解決力をマスターする

1 物を使って解決する

2 別の組織を使って解決する

3 次々と発想していく

4 発想を変える

5 待って解決する

6 君子危うきに近寄らず

第八章 現場に合う知恵を出せ

1 状況の特性に応ずる手を打て

2 鬼門に近寄るな

3 両極思考を忘れるな

4 利・害・業を使い分けて効率をあげる

第九章 相手の陣営の混乱に乗ずる法

1 敵の後方をたたくのが有利

2 敵の内部の混乱につけこむ

第十章 たえず目的と目標の関係を意識しながら行動する

1 目的を忘れてはならない

2 目的と目標を混同してはならない

3 目標とは目的に到達するための手段であり、当面の前進目当てである

4 目標を無視して目的をつかもうと焦れば、足もとをすくわれる

5 目的を忘れて目標に熱中すれば、無駄働きとなる

6 クラウゼヴィッツの目的・目標論

 

「孫子」全文の読み下し文とその要点の限定注解

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孫子一日一言

1994年2月発行

はじめに

孫子読み下し

1月のことば

1月1日 兵は国の大事察せざるべからず

孫子のこの冒頭の言葉は、後の死生の地、存亡の道と相俟って、まず事の初めに、その本質を捉え、理念を確立すべきことの大切さを教えている。その処世観に基づき何が重要か、何をなすべきか、をといたのが五事(平素の準備)及び七計(状況判断)である。彼は戦争は国民の死生、存亡にかかわる大事だからむやみにしてはいけないといい、これを為政者は肝に銘じておけと釘をさす。だが、世は戦国乱世、戦争は避けがたい。「戦わずして勝つ」の高邁な戦略理念は、この矛盾を克服することによってうまれたものだ。これからいえることは、哲学、信条、理念をもつことの大切さだ。これは人間として、特に人の上にたつ者、組織を動かすものにとって何にもまして大切だということである。論より証拠、この不況下に比較的好調な企業に共通する点の第一は、企業哲学をもっていることだという。ただこの哲学、経営観は倫理的に裏うちされたものでなくてはならない。

2月のことば

2月1日 算少なきは勝たず

本項の「少算不勝」は前項につづく文章である。開戦前、宗廟(おたまや)の会議で勝算が少ないというのは、状況判断の結果、その勝ち目が少ないということである。孫子はこの判断で、事前に勝敗をはっきり予測できるという。孫子の主張を一言でいえば、熟慮断行である。彼はこれを「始めは処女の如く、終わりは脱兎の如し」という。熟慮とは状況判断をしっかり行ない、方針をきめよということだ。第二次世界大戦中、英米では確実に勝利を獲得するために、敵対比率においてどのくらいその戦場に兵力を投入すればよいかとか、敵の後方を叩く戦略力と前線の敵と戦う戦術力の比などの数量探究と、情報活動や状況判断の思考過程の手法の標準化、形式化などの研究を行なって、勝利の確実な獲得につとめた。これがオペレーションズ・リサーチ(OR)である。その核心は十分な資料に基づく理論的思考であり、計算(資料判断)と思考の両論の必要性を示唆している。したがって孫子の状況判断はORそのものである。

7月のことば

7月13日 朝気は鋭く、昼気は堕し、暮気は帰る

本項の「是故朝気鋭、昼気惰、暮気帰」は、心気の移り変わりの差異をのべた言葉である。この意味は、ふつう人間の気力というものは、朝は鋭く、昼は鈍り、夕方は衰えるものである。これは事をなすうえにおいて重要なことなので、人を使うもの、組織を管理するものは、自己の組織、相手の組織の気力が、今、鋭いか、鈍っているかを、はっきりつかんでいることが大切だというものだ。日本海海戦のとき、東郷連合艦隊司令長官は、敵のバルチック艦隊は半年に及ぶ航海で、その気は惰し、一刻も早くウラジオストックに入るため、必ず朝鮮海峡を通ると判断して朝鮮の鎮海湾で待機し、わが朝気をもって敵の暮気にうち勝った。これに対してミッドウェー海戦では、逆に米ハワイ艦隊の朝気に、わが連合艦隊の昼気をうたれ敗れた。連合艦隊は、開戦前半年間の血の滲む猛練習と、開戦後半年間の息もつかせぬ攻撃のため、さすがの精鋭も惰して昼気になっていた。上にたつ者は、この部下の心気をつかんで指揮する必要がある。

 

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